多和田訓練士が語る「盲導犬の訓練って?」:公益財団法人日本盲導犬協会公式ホームページ

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トップページ > 多和田訓練士が語る「盲導犬の訓練って?」 > 第4話 「盲導犬歩行指導員」~共同訓練・フォローアップを通じて視覚障がい者と向き合う

公益財団法人日本盲導犬協会

多和田訓練士が語る「盲導犬の訓練って?」

公益財団法人日本盲導犬協会理事
盲導犬育成統括責任者

多和田 悟

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日本盲導犬協会の使命

(犬を含め誰の犠牲の上に立つことなく)
目の見えない人、目の見えにくい人が、
行きたい時に、行きたい場所へ行くことができるように、
私たちは、安全で快適な盲導犬との歩行を提供します。

この使命を達成するために我々職員は協会の活動を支援して下さる人や企業、団体と共に盲導犬を育成し、視覚に障がいがあるために歩行に困難を感じておられる方々に歩行指導を行っている。
カッコで括った「犬を含め誰の犠牲の上にも立つことなく」の「誰」とは具体的に誰なのであろうか?本企画ではそれを紐解きながら、日本盲導犬協会が目指す盲導犬育成事業についてシリーズでお伝えしていきたい。

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第4話 「盲導犬歩行指導員」~共同訓練・フォローアップを通じて視覚障がい者と向き合う

歩行指導とは?

視覚障がい者にとって歩行するとはオリエンテーション/ナビゲーション&モビリティ(Orientation/Navigation & Mobility)を指す。

私はオリエンテーション(Orientation)を自分の現在いるところと目的地との関係を、方位を使って理解する方法と考える。ナビゲーション(Navigation)は自分の現在いるところと目的地との関係を、自分中心の前後左右で理解する方法と考える。もちろんどちらか一つだけではなく、組み合わせて目的地までの地図を自分で作って歩く。

「目が見えない見えにくいために歩けない」とは、歩行するための肉体的な機能の不全を意味しているのではない。目的地へ行くための地図を作る(オリエンテーション:Orientation) うえで、現在地の確認、目的地の確認、経路の確認が視覚的に出来ないため

  1. 私は今どこにいるのか
  2. 目的地はどこか
  3. どのように目的地に向かうか

上記3点の確認を保有視覚を含む他の方法で行わなければならないが、その方法を知らない、また、視覚以外の情報の信憑性に自信を持てないために自分は歩けない(自分の力だけで目的地に到達できない)と思っておられるということである。

歩行指導とは、こうした視覚障がい者に必要な情報を得る方法を教えることを意味する。

盲導犬ユーザーが歩道を渡ろうとしている。後ろには歩行を見守る訓練士2名

歩行に必要な情報を得るために

視覚によって環境の情報が得られない視覚障がい者にとって、実際に歩く上で(モビリティ:Mobility)必要となる環境の情報は

  1. どこに障害物があるか
  2. そこに段差(昇り降り共)があるか
  3. どこに交差する道路があるのか

上記の3点である。加えて今自分は道路のどの部分にいるのかが分かればなお良い。

歩行とは、一定の環境の中で現在いるところから目的地まで移動することと定義した場合、盲導犬歩行では、犬が目的地を知っている訳ではなく盲導犬使用者である視覚障がい者自身が必要な環境の情報を得ながら犬に指示して目的地を目指す。そのために犬は

  1. 障害物を教える(地上、犬の頭上、人などの動く障害物)
  2. 昇り、降り共に段差の端から5cm以内に前肢を置いてその存在を知らせる
  3. 角を発見して停止する

これらの情報を提供するが、日本盲導犬協会では原則として犬を人の左側に置き、人の左手にハーネスのハンドルを持ち道路の左端を歩くことを教えている。また必要に応じて犬を人の右に置き、人の右手にハーネスのハンドルを持ち道路の右側を歩く方がより安全を確保できるときにはそれが出来るように、全頭両側とも歩く指導をしている。歩道上においても進行方向の左端を歩くようにしている。

盲導犬ユーザーと室内で話をする訓練士。盲導犬ユーザーの足元には盲導犬がいる

盲導犬歩行指導員になるまで

共同訓練では、犬に関する講義科目と実技科目がある。講義科目では犬の衛生、健康管理、法律、訓練理論などがあり、実技科目では犬からの情報を受ける方法、犬に指示をする方法、犬と暮らす方法、視覚以外の情報の取り方、その情報を基に目的地までの地図を作る方法、周りの方々から必要な援助を得る方法などを学ぶ。その期間は初めて盲導犬を使おうとする人の場合は4週間以上、代替の人は2週間以上を犬と共に過ごしながら学ぶ。

上記の指導を行う歩行指導員に求められる事柄は、盲導犬訓練士としての知識、技能、態度それぞれの要件に加え、視覚障がい者と向かい合うために、医学、心理学、コミュニケーション方法などを含む視覚障がい者リハビリテーションに関する知識と多岐にわたっている。更に『ノン・ビジュアル・コミュニケーション:Non Visual Communication』の技術を身に着け、一人の人間の人生に向かい合い寄り添う覚悟と態度を醸成することが求められる。

訓練士としてある一定のレベルに達したと評価されたら、盲導犬歩行指導員研修生となることが出来る。研修期間中は資格のある指導員の監督を受けながら最初の2回の共同訓練はフルサポートで、次の2回の共同訓練はセミソロと言われる関わり方での共同訓練を担当する。最後の2回の共同訓練はソロとして監督の元、単独での共同訓練運営を想定した共同訓練を行う。

この研修期間中にはやはり監督の元、盲導犬の希望者と面接をし、盲導犬使用の適否、適ならばどのようなタイプの犬と共同訓練を行うかについて、提案を行う。否であるならば盲導犬に代わる歩行方法を提案したり、それが出来る施設へつないだりする。

6回の共同訓練と規定の面接の他、次のすべてのタイプのフォローアップ(FU)を経験する。共同訓練直後FU (ポスト・クラス・フォローアップ:Post Class FU)、盲導犬使用開始から半年までは毎月、それ以後1年までは3か月毎に訪問または来訪、電話などで行う定期訪問FU(レギュラー(ルーティン)フォローアップ:Regular[Routine] FU) 、新しいルートの開発や引っ越しで環境変化があったとき、また犬の問題行動など、ユーザーからの要請により行うFU(リクエステッド・フォローアップ:Requested FU)、犬・使用者の病気や事故のために駆けつける緊急FU (エマージェンシー・フォローアップ:Emergency FU)である。

研修期間中のすべての活動は記録され評価を受け、規定を満たし推薦が受けられれば資格審査を受けることが出来る。資格審査は、現在は全国8協会が加盟する認定NPO法人全国盲導犬施設連合会が行っている。

盲導犬ユーザーと外で話しをしている訓練士。2人とも立ったまま笑顔で話している。
足元には盲導犬がいる

多和田 悟 プロフィール

1952年、滋賀県出身。青山学院大学文学部神学科を中退し、1974年 日本盲導犬協会小金井訓練センターに入所。富山県支所を経て1982年から(財)関西盲導犬協会訓練部長に。1987年、映画やドラマになったクイールを訓練。1995年にはオーストラリア・クイーンズランドにある盲導犬協会にシニア・コーディネーターとして招かれる。帰国後、関西盲導犬協会シニア・コーディネーター、2004年から日本盲導犬協会盲導犬訓練士学校教務長、2012年協会理事に就任。国際盲導犬連盟のアセッサーとして世界各国の盲導犬施設を査察、国際の舞台でも活躍。

写真:皇太子さま皇太子妃雅子さま
神奈川訓練センターご視察

写真:ノルウェーで盲導犬を育成する
長年の友人トール・サナムさん

写真:2012年に行った
「渋谷ハチ公
盲導犬パレード」

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